まつだ眼科形成外科|東京都狛江市

眼科一般診療をはじめ、まぶたや涙目に対する高度な治療を行います。

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眼瞼皮膚弛緩症に対する治療について

プレゼンテ
眼瞼皮膚弛緩症はまぶたの弛み(余剰皮膚)により視界が遮られたり重さを感じる状態のことをいいます。まぶたの縁が下がった状態である眼瞼下垂に合併する場合も多くありますが、それ単独で存在することもあります。本日は眼瞼皮膚弛緩症に対する治療について概略をご説明します。

まず病態についてですが、眉毛から睫毛までの距離は(骨格的な距離として)個人個人に決まった長さがあります。その長さに一致した皮膚の量(=バランスが取れた状態)であれば問題ないのですが、加齢とともに皮膚が薄く伸びることによって骨格の距離に比して皮膚の量に余剰が生まれます。このアンバランスな状態は睫毛に対する負荷となり、その代償となる眉毛挙上などによってまぶたの重みや眼精疲労、頭痛・肩こりなどを招くことになります。

眼瞼皮膚弛緩症に対する代表的な治療法には眼瞼形成術眉毛下皮膚切除術があります。両者にはそれぞれ様々なバリエーションがありそれを加味すると数多くの術式が挙げられますが、いずれの術式においても崩れてしまったバランスを整えて負荷を減らすというコンセプトは共通しています。ではどのように術式を選べば良いのか、詳細は別の機会にまた説明したいと思いますが、二重(ふたえ)がしっかりしていない状態の方には、原則、眼瞼形成術をお勧めしています。二重を作成することは再発予防、目立たない傷跡、視機能改善といった機能面での利点があるためです。一重の方の場合にも機能的な観点からは二重の作成が望ましいですが、見た目の変化は避けられませんので、そのことを気にされる場合には別の方法をご提案することになります。

写真は眼瞼形成術の例になります。術前と比べて、手術後では正面視・上方視ともに視界の広がりを容易に想像して頂けるかと思います。それだけでなく上記に記載したような機能的な改善も得ることができます。次回は眼瞼形成術と眉毛下皮膚切除術、両術式における選択のポイントについて解説します。
2023年11月20日 09:30

ヘリング現象を活用した治療例について

プレゼ
前回の記事では眼瞼下垂手術におけるヘリング現象について説明しました。左右差の原因となるやっかいな現象といえますがその反対に、この現象をうまく利用することで良好な結果につなげられることがあります。本日はヘリング現象を活用した治療例について解説したいと思います。

写真は以前、右眼瞼下垂手術を受けられた方です。右側のまぶたがやや過剰に挙がり過ぎていることを大変気にされていました。再手術で右まぶたの高さを下げることも検討しましたが、左側の眼瞼下垂が見られ始めていたため、ヘリング現象を期待して左側の下垂手術を行いました。手術後、左側が適切な高さまで挙上されると同時に、右側のまぶたの位置は落ち着いた範囲へと収まり、その結果、左右差の解消を達成できました。

しかしながら、本例のように反対側の過矯正を対側の手術によって必ずしも改善できるとは限らないことも付け加えておきたいと思います。前回の記事で、ヘリング現象の発生は反対側のまぶたの状態次第であると書きました。その仮説に基づくと、本例では右側のまぶたは手術後の状態にあったことから、未治療の状態よりも内部はしっかりとした状態にあったと推測されます。従って本例でヘリング現象が生じた理由は、術前の左側の下垂に対する開瞼刺激がとても強く、それにつられる形で右側も過剰に反応していたためであったと考えられます。とするならば、”右まぶたは過剰に挙がっていたというよりも、左まぶたの強い開瞼刺激によって挙げられていた”と考えることもできると思います。

まぶたの高さは互いに影響し合う、といわれる理由がお変わり頂けましたでしょうか?
本日の内容がヘリング現象をより深く理解する一助となれば幸いです。


 
2023年10月28日 11:49

ヘリング現象について

ヘリング現象 図
眼瞼下垂手術後によくある問題のひとつに「左右の違い」があります。この左右差が生じる理由には手技的な問題や患者側の要因など様々あるのですが、たとえ正しく治療が行われていても生じてしまう理由のひとつにヘリング現象があげられます。本日はこのヘリング現象についての説明をしたいと思います。

ヘリング現象とは片側の下垂手術例において治療後に反対側のまぶたが下がってしまう現象のことをいいます。図のように片側のみの眼瞼下垂例(反対側は正常の高さ)の治療に際しては当然、反対側と同じ高さに挙げることが目標となりますが、その高さが達成されたとしても、期せずして反対側が下がってしまい、結果として左右差につながってしまうことがあります。本現象の起こる原因の詳細は不明なのですが、想定されている機序は以下のとおりです。開瞼に対する脳神経からの指示は左右で同一であること、つまり、右と左のまぶたで別々に開瞼指示が行われているのではなく、脳内における一点からの刺激が左右のまぶたに同じように入っており、手術前に両側同程度に生じていた開瞼への強い刺激が手術によって弱まることで起きるとされています。

ヘリング現象によってどの程度術後に下がるのか、どれくらいの頻度なのか、開瞼を要求する刺激の程度を測る方法がないため、いくつかの論文による研究はあるものの未だはっきりとした答えを呈示することはできません。しかし私見にはなりますがこの現象の発生率は反対側のまぶたの状態次第で変化しうると考えられます。高齢者や両側装用者のコンタクト性下垂などでは反対側の脆弱性が想定され、より注意が必要になるといえそうです。”左右のまぶたは互いに影響し合う”、その所以となるヘリング現象についての解説でした。

 
2023年10月03日 11:49

ミュラー筋タッキングの例

プレゼンテーション1
前回、切る眼瞼下垂手術のバリエーションについて解説いたしました。本日はそのうちの一つであるミュラー筋タッキングについてご説明します。

術式選択の際、当院では矯正力の高さ(まぶたを挙げる力)、結果の安定性(再発の少なさ)の観点から挙筋腱膜前転を第一選択としています。しかし、以下に述べるような状況の場合、挙筋腱膜前転ではなくミュラー筋タッキングを選択することがあります。その選択のポイントについて説明します。

まずミュラー筋に比べて挙筋腱膜のほうが下垂の矯正力が高い傾向にあるため、軽度の眼瞼下垂例では、微調整が重要視される観点からミュラー筋タッキングの良い適応となる場面があります。またあまり知られていないのですが、時としてミュラー筋のほうが牽引力が強い例があり、その場合にはあえてミュラー筋タッキングを選択することがあります。
まぶたの生理的カーブ形状の出しやすさの点ではミュラー筋が非常に優れており、挙筋腱膜を用いての定量の際、カーブ形状が急峻となる場合にはミュラー筋タッキングに切り替えるようにします。
その他、術前にドライアイを有する例では術後のまぶたの閉じやすさは眼表面の安定において重要であり、柔らかい筋であるミュラー筋を用いるほうが有利です。特に先天下垂の要素があるまぶた(組織が硬い)では閉じやすさを優先してミュラー筋タッキングを選択することがしばしばあります。一方、術後の一過性の戻りはミュラー筋タッキングの懸念点であり、その対策として症例写真のようにやや過剰ぎみに挙げておくことも戦略のひとつになります。

余談ですが、本術式は眼科医の間ではよく施行されている一方、形成外科の領域ではほとんど行われていないようです。ミュラー筋は自律神経の一つである交感神経支配を受けており、ミュラー筋に傷を付けることは自律神経に関連した有害症状を引き起こす原因になると考えられているためです。しかし、実際にそのような合併症について明確に記した報告は現在までに存在せず、眼科医のほうではミュラー筋障害による症状に対しては非常に懐疑的な見方をしています。この点に関しては今後の研究が待たれるところです。



 
2023年09月15日 07:14

眼瞼下垂手術のバリエーション:前転組織による違い

図です
本日は眼瞼下垂手術のうち、国内で広く行われている”切る手術”についてご紹介したいと思います。やや専門的な内容になりますが、なるべく解りやすく説明するつもりですので頑張ってついてきて頂ければと思います(笑)。以前、切らない眼瞼下垂手術のバリエーションについて書きましたが、切る眼瞼下垂手術についても手技の細かい部分での違いなどの観点から様々なバリエーションが存在します。それらを一括りに分類していくことはやや無理があるのですが、どの組織を操作(前転)するのかといった観点で各術式を眺めてみるとそれぞれの特徴を比較的掴みやすいかなと思います。本日は切る下垂手術の分類を説明したいと思います。”分類といってもうちは単一の術式のみしか行っていないよ・・”といった施設もあるかと思いますが、眼瞼下垂の病態や程度は千差万別であるため、症例に応じた対応が出来るほうが良好な結果を出しやすいのではと個人的には考えています。

まず眼瞼(まぶた)の解剖について簡単に述べます。眼瞼内には眼瞼挙筋が存在し、この筋の収縮がまぶたに伝わることでまぶたが開きます。伝わると書いたのは、眼瞼挙筋自体がまぶたに直接繋がっているのではなく、筋の先端が眼球の直上付近で挙筋腱膜とミューラー筋の二つに枝分かれし、これらがまぶた内部を併走したあと、まぶた末端に付着しています。従って、実際の手術では挙筋腱膜およびミューラー筋の単独もしくはその両者の前転が行われています。前転というのは、標的の組織に糸を掛けて手前側に牽引を掛けた状態で固定することをさし、この操作によって眼瞼挙筋の張力を増やすことができます。前転の標的組織として、①挙筋腱膜、②ミューラー筋、③挙筋腱膜とミューラー筋の3種類となります。

挙筋腱膜前転:開閉瞼の2つの動力源のうち挙筋腱膜のみを前転する方法で、国内の形成外科や眼科、海外を含めて最も一般的に行われている術式です。ミュラー筋よりも矯正力が高く(まぶたを挙げやすい)、再発も少なく、また組織へのダメージも少ない点などが利点です。ただし、時に上まぶたのカーブが急峻となりやすい点や閉瞼のしにくさなどが欠点といえます。

ミューラー筋前転(タッキング):挙筋腱膜は触らずにミュラー筋のみを前転する方法で、主に国内の眼科で広く施行されている術式です。生理的なカーブ形状を出しやすい、閉瞼がしやすいなどの特徴があり、手技としても筋へのアプローチが容易で、組織へのダメージも少ない利点があります。欠点としては矯正力が挙筋腱膜より弱い傾向にあること(例外もあります)、術後にやや戻りがある点などが挙げられます。

挙筋群前転:挙筋腱膜とミュラー筋の両者を前転する方法です。矯正力の点では最も強力な方法であり再発も少ないといえますが、組織へのダメージが大きい点が欠点といえます。

当院では矯正力の安定感からまず①挙筋腱膜前転を選択します。そして定量時に生理的カーブ形状が得られにくい場合(三角目など)には②ミュラー筋タッキングに移行するようにしています。
施設によっては単一の術式のみしか対応していないところも多いですが、上記に記してきたように、状況に応じて術式を使い分けることは非常に大切です。当院では切らない手術だけでなく、切る手術でも豊富な治療経験があり、様々な状況において最適な選択肢をご提供できるよう常に心掛けています。眼瞼下垂でお悩みであれば是非一度ご相談にいらしてください。
2023年08月31日 16:11

切る手術と切らない手術の本質的な違いについて

イラスト図です
切らない眼瞼下垂手術の話題に関連して本日は切る眼瞼下垂手術との本質的な違いをもう一点取り上げてみます。切らない眼瞼下垂手術を行っている施設は現状まだまだ少なく、以下の記載は専門医の間でもあまり知られていない内容と思われますが大切な点なのでここで触れておきたいと思います。

切る眼瞼下垂手術(以下、切る手術)と切らない眼瞼下垂手術(以下、切らない手術)の一般的な差異については傷の有無や腫れ・皮下出血の程度の違いなど今までもお話ししてきました。しかしながら両者では挙筋腱膜へのアプローチ法が異なるのみで、それに対する操作(挙筋腱膜を牽引した上で瞼板前面に固定する)には基本的に変わりがないため、上記の利点を差し引きさらに皮膚切除が出来ないことなどを考慮すると、”切らない眼瞼下垂手術に優位性はない”と考える医師は多いのではないかと思います。

ここで私が考える両アプローチ法における本質的な違いについて説明します。
切る手術では術野を展開する過程で皮下にある眼輪筋の周囲組織(瞼板や眼窩隔膜)からの剥離をします。このうち瞼板の前面に広く位置している眼輪筋は、まぶたの骨格である瞼板の安定性に大きく寄与しており、この間の接着を剥がすことで瞼板の安定性が低下してしまいます。この状態で挙筋腱膜を瞼板へ固定すると、三角目を呈しやすくなる問題点が出てきます。また、仮に定量時においてまぶたのカーブ形状が綺麗に出た場合でも、腫れた皮膚や出血で膨らんだ眼輪筋などの前葉組織を瞼板前面に再び戻す過程でその形状が維持されるという保証がありません。つまり定量時には綺麗なまぶた形状を呈していても傷を閉じる段階になり形状が崩れている場合がしばしばあります。
一方、切らない手術では術野を展開する過程において眼輪筋などを傷つけることなく挙筋腱膜に直接アプローチします。眼輪筋と瞼板の間の接着を維持したままでまぶたを上げることができることから生理的なカーブ形状が術中術後を通じて維持されやすいといえます。皮膚を切らないため前葉組織へのダメージも少なく、このことは術後結果とのズレが少ない利点といえます。

両アプローチ法の手術過程を俯瞰して表現すると、切る手術では術野を大きく展開し、内部での操作を行った上で、術野を閉じて終了といった過程をへますが、切らない手術では小さく展開し、内部操作を行って終了、といった過程をへます。
切る手術と切らない手術、両者では挙筋腱膜に対して”同じ内部操作であってもそこに至るまでの過程が大きく異なる”というお話しでした。やや専門的な内容でしたがお分かり頂けましたでしょうか?
2023年08月27日 07:14

切らない眼瞼下垂手術の良い適応となるまぶたとは?

プレゼンテー
前回の記事で二重幅(ふたえはば)の内容に少し触れたかと思います。
それにちなんで本日は「切らない眼瞼下垂手術」に適するまぶたはどんな状態の方であるのか解説したいと思います。

切らない眼瞼下垂手術は”皮膚をいじらない”ことが一つの特徴ですが、一方で”皮膚をいじれない”方法であるとも言い換えられます。二重幅は見た目に影響を与える大きな要素の一つといえますが、切らない手術は生来の二重線を利用した術式であり、写真を参考に手術内容を端的に表現すると広がった二重幅が狭まる形でまぶたが挙がるということになります。広めの二重幅を希望したり、新たに二重を作成することといったことはそれ単独の術式では行うことは出来ません。したがって下垂手術後にまぶたの挙げ具合を控えめとすれば二重幅は広めに残りますし、反対に挙がり過ぎれば奥二重ぎみとなります。

良い適応となるまぶたは、二重瞼でなおかつ二重幅が広く間延びして眼瞼下垂を呈した状態となります。一重瞼や二重瞼でも二重幅が狭い状態の方は皮膚弛緩の影響が出やすいため、やや不向きです。ただし、片側の眼瞼下垂の例では術式の特性上、反対側(手術をしない側)の見た目に合わせやすいことから、例え一重であったり狭い二重幅の方であっても良い適応になり得ます。
今回は二重線に関連した切らない眼瞼下垂手術のお話しでした。
2023年07月20日 07:12

下垂手術ではどこを切っているのか?皮切ラインにおける考察

皮膚切除のデザイン
経皮膚での二重切開術や眼瞼下垂手術の際、一体どこを切っているの?と疑問に感じる方も多いかと思います。経皮膚の手術の場合、切開ライン上で二重(ふたえ)を作成し直すのですが、この切開ラインと二重作成の間には実は密接な関係があります。本日は切開ラインにまつわる話しをしたいと思います。

写真は眼瞼下垂手術の際のデザインを示しています。デザインとは予定切開ラインのことで、描かれている3本のラインは下が予定切開ライン、中央が生来の二重ライン、上が皮膚切除のラインになります。ちなみに手術では予定切開ラインから皮膚切除のラインで囲まれた領域を切除することになり、中央のラインは今回説明のため便宜的に書いています。つまり手術で切開するラインは生来の二重ラインとは異なることが一般的です。仮に、生来の二重ラインで切開しそこで二重作成をしてしまうと、とても広い二重幅になってしまい機能的にも整容的にもまずい結果を招くことになります。なぜ本来の二重ラインであるにも関わらず、このようなことになるのでしょうか?

その原因は生来の二重によって作られる陥凹と手術で作られた陥凹の違いに起因します。生来の陥凹にはそこに多くの皮膚を納めておくことのできるスプリング様の柔らかさがあります。しかし、一旦人工的に二重を作成してしまうと、その柔らかさは失われ、陥凹内のスプリング機能が低下します。つまり作られた二重ではその内部に納めておける皮膚の量が減少してしまうことになります二重の作り方にも寄りますが私の経験上、少なくとも上下幅で5~6mmは違いがあるようです。人工的に作られた二重はどんなに綺麗な容姿であったとしても生来生まれ持った二重とは根本的に作り(機能)が違うものといえます。

見方を変えると、人工的な二重を作成することは生来の二重である状態よりも皮膚余剰が生まれることになります。この事実は経皮膚の下垂手術において、術前と同様の二重幅を維持するためには少なくとも5,6mmは皮膚切除する必要があることを意味します。生来の二重を維持できる「切らない眼瞼下垂手術」の場合には基本的に二重を作成しないので今回の件は必ずしも当てはまりません。”切らない下垂手術は皮膚切除を併施できないことが欠点である”とよく指摘されますが、上記の内容については理解しておくべきと私は考えます。本日は切開ラインにまつわるお話でした。皆様お分かり頂けましたでしょうか?

 
2023年06月21日 11:24

術後の二重瞼(ふたえ)の幅を決める要素とは?

プレゼンテーション5
眼瞼下垂手術を受ける際、手術後の二重瞼の幅がどの程度になるか、広い二重幅や反対に狭い二重幅(所謂、奥二重の状態)など大変気になりますよね!?意外に思われるかもしれませんが、術後の二重幅は様々な要因に左右されるため、完璧にコントロールすることは大変難しいことといえます。本日は術後の二重瞼の幅が何によって決まってくるのか、そのポイントについて解説します。

術後の二重幅は決める主要因には、①皮切の高さ(睫毛から何mmで切開するか)、②残りの皮膚の量③術後のMRD④眉毛の位置が挙げられます。①は感覚的に理解できると思いますが、高い位置で切れば広い二重になりますし、低い位置で切れば狭めの二重になります。②は切開デザインのうち、上のラインから眉毛までの距離で計測します。残りの皮膚量が少なければ広い二重になりますし、多ければ狭めの二重になります。③は下垂を矯正した結果、予定したまぶたの高さまで挙がらなかった場合には広めの二重になり、予定よりも挙がり過ぎた場合には狭めの二重になります。④は眉毛の位置が下垂矯正後に下降する(通常、下垂治療後に前額部の筋はリラックスする)影響のことですが、下降程度が少ない場合には広めの二重に、多い場合には狭い二重となります。

術前に決めておけることは①と②だけであり、③を予想しながら二重幅をコントロールしていくことになります。ちなみに④を正確に予想することは難しいとされます。
大事な点は①~④のいずれもが術後の二重幅にとって重要な要素であり、これらの組み合わせの結果として決まるものであるということ、一つの要因で決まるほど術後の二重幅は単純ではないことを知っておいて頂ければと思います。

その他の要因には二重の作成方法軟部組織の量やその処理方法、皮膚の厚みや硬さ等によっても二重幅は影響を受けますが、これらについては後日またあらためてご説明したいと思います。

 
2023年04月28日 13:22

二重瞼(ふたえまぶた)と一重瞼(ひとえまぶた)の成り立ちについて

皮下穿通枝
美容外科領域では二重整形が活況を呈していますが、そもそもの疑問として、二重と一重の違いを分ける構造的な要因は何なのでしょうか?
はっきりとした二重を有する割合は白人はほとんどであるのに対して、アジア人では3割程度しかいないとされています(奥二重の方は3割程度)。
興味深い内容ではありますが、そのことについて明確に答えられる先生は少ないのでは?と思います。実は、二重と一重を決定づける構造的要因は未だはっきりとしていないのです。
そこで本日は二重と一重の構造的な違いに関連すると考えられている因子について説明したいと思います。

まず1960年代に、まぶたの開け閉めに関与する挙筋腱膜から皮膚へ伸びる枝、これを皮下穿通枝と呼びますが、この皮下穿通枝を有するまぶたか有さないまぶたかが二重か一重かを決める要因である”という説が発表されました。つまり皮下穿通枝が有るまぶたでは二重になり、無いまぶたでは一重になるという内容です。非常に有名な説ではありますが、実はその後の研究によって、一重まぶたの方であっても皮下穿通枝自体は存在することが確認されました。つまり、皮下穿通枝の有無は決定的要因ではないということのようです。ただし、後にも記載しますが、皮下穿通枝の発達具合は二重と一重の成り立ちに寄与している可能性はあると思います。さらに以下に挙げたその他の要因についても、ご遺体や手術の際に得られた検体等を用いた研究がなされています。
代表的なものに、①皮膚の厚み、②眼輪筋(まぶたを閉じる筋肉)の厚みや間隔、③眼窩脂肪の下降の程度、④ROOFの厚みや下降の程度などがあります。
まず①について二重と一重のまぶたでは、二重部位と二重部位に相当する部位の皮膚の厚みには違いがあるようです。つまり”二重まぶたは一重まぶたより皮膚は薄い”ようです。次に②ですが二重と一重の違いに関与している可能性が高いと考えられています。”二重まぶたの二重の折り込み部位に存在する眼輪筋の厚みは、一重の方の同部位付近に存在する厚みよりも薄い”という報告があり、これは二重切開術の際に眼輪筋を一部切除する根拠となっています(眼輪筋を薄くすることで一重まぶたを二重まぶたに変化させる)。③と④について、眼窩脂肪やROOFの下降程度は皮下穿通枝の発達程度に影響を与えていると思われ、臨床的にも脂肪(特にROOF)の発達したまぶたでは一重まぶたの方が多い印象があります。したがって上記の説にも関連していると考えられますが、現在のところ研究報告では二重と一重の間で脂肪の厚みや下降程度に明確な違いはないとされています。

本日は二重まぶたと一重まぶたの違いを分ける構造的要因について説明しました。まだまだ分からないことも多く今後の解明が待たれるところです。本日の内容が皆様のお役に立てましたら幸いです。

 
2023年04月01日 13:17
診療時間
 
AM 手術 - - 手術 -
PM - - 手術 手術 - -
9:00~12:00/14:30~17:30
「●」は9:00~13:00
休診日:火・水・日・祝日
受付開始は診療開始15分前から、受付終了は診療終了15分前まで。
手術枠では診察は行っておりません。学校検診は事前にお電話でのご予約が必要となります。
03-5761-4406
東京都狛江市和泉本町4-2-13 SANTE SAKAE 102

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