ヘリング現象を活用した治療例について
写真は以前、右眼瞼下垂手術を受けられた方です。右側のまぶたがやや過剰に挙がり過ぎていることを大変気にされていました。再手術で右まぶたの高さを下げることも検討しましたが、左側の眼瞼下垂が見られ始めていたため、ヘリング現象を期待して左側の下垂手術を行いました。手術後、左側が適切な高さまで挙上されると同時に、右側のまぶたの位置は落ち着いた範囲へと収まり、その結果、左右差の解消を達成できました。
しかしながら、本例のように反対側の過矯正を対側の手術によって必ずしも改善できるとは限らないことも付け加えておきたいと思います。前回の記事で、ヘリング現象の発生は反対側のまぶたの状態次第であると書きました。その仮説に基づくと、本例では右側のまぶたは手術後の状態にあったことから、未治療の状態よりも内部はしっかりとした状態にあったと推測されます。従って本例でヘリング現象が生じた理由は、術前の左側の下垂に対する開瞼刺激がとても強く、それにつられる形で右側も過剰に反応していたためであったと考えられます。とするならば、”右まぶたは過剰に挙がっていたというよりも、左まぶたの強い開瞼刺激によって挙げられていた”と考えることもできると思います。
まぶたの高さは互いに影響し合う、といわれる理由がお変わり頂けましたでしょうか?
本日の内容がヘリング現象をより深く理解する一助となれば幸いです。
2023年10月28日 11:49