まつだ眼科形成外科|東京都狛江市

眼科一般診療をはじめ、まぶたや涙目に対する高度な治療を行います。

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ヘリング現象について

ヘリング現象 図
眼瞼下垂手術後によくある問題のひとつに「左右の違い」があります。この左右差が生じる理由には手技的な問題や患者側の要因など様々あるのですが、たとえ正しく治療が行われていても生じてしまう理由のひとつにヘリング現象があげられます。本日はこのヘリング現象についての説明をしたいと思います。

ヘリング現象とは片側の下垂手術例において治療後に反対側のまぶたが下がってしまう現象のことをいいます。図のように片側のみの眼瞼下垂例(反対側は正常の高さ)の治療に際しては当然、反対側と同じ高さに挙げることが目標となりますが、その高さが達成されたとしても、期せずして反対側が下がってしまい、結果として左右差につながってしまうことがあります。本現象の起こる原因の詳細は不明なのですが、想定されている機序は以下のとおりです。開瞼に対する脳神経からの指示は左右で同一であること、つまり、右と左のまぶたで別々に開瞼指示が行われているのではなく、脳内における一点からの刺激が左右のまぶたに同じように入っており、手術前に両側同程度に生じていた開瞼への強い刺激が手術によって弱まることで起きるとされています。

ヘリング現象によってどの程度術後に下がるのか、どれくらいの頻度なのか、開瞼を要求する刺激の程度を測る方法がないため、いくつかの論文による研究はあるものの未だはっきりとした答えを呈示することはできません。しかし私見にはなりますがこの現象の発生率は反対側のまぶたの状態次第で変化しうると考えられます。高齢者や両側装用者のコンタクト性下垂などでは反対側の脆弱性が想定され、より注意が必要になるといえそうです。”左右のまぶたは互いに影響し合う”、その所以となるヘリング現象についての解説でした。

 
2023年10月03日 11:49
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