まつだ眼科形成外科|東京都狛江市

眼科一般診療をはじめ、まぶたや涙目に対する高度な治療を行います。

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眼瞼下垂の再手術の例

プレゼンテーション1

眼瞼下垂手術を過去に受けたことがある方の再手術例です(写真使用を許可して頂き感謝致します)。この方は”他院で2度、眼瞼下垂手術を受けるも改善が無かった”とのことで当院に相談に来られました。

再手術のプランですが、前回の切開ラインは理想よりもだいぶ高い位置にあり、低い位置に新たな重瞼ラインを設定し直しました。下垂の矯正に加え、前回切開ラインまでの間の皮膚切除も行っています。手術後、”明るく見えるようになり、まぶたの重みも取れて頭痛や肩こりからも解放されました”と大変喜んで頂けました。
頭痛や肩こりが手術後に改善するメカニズムですが、前額部(おでこ)から頭頂部を経由して後頭部まで連続している筋の緊張が治まることによるとされています。眼瞼下垂を発症すると視界を確保するため無意識の眉毛挙上がなされこの状態が続いてしまう(筋の持続的な緊張状態)と、薬物療法でも改善しない頭痛や肩こりを招く結果となります。手術後には眉毛の位置が下がって落ち着いた目元になっていることが術前後の写真からも分かります。

また、眼瞼手術を過去に受けたことがある場合、まぶた内部の構造が変化してしまっており、再手術は一般的に難易度が高いとされています。当然ですが、”切らない眼瞼下垂手術法”は適応になりません。

でも、大丈夫です。当院は皮膚切開による通常の手術方法や他院手術後の修正術なども含め豊富な治療実績があります。お一人お一人のまぶたの状態に応じた最適なプランをご提案できるかと存じます。まぶたでお悩みの方や他院で治療を断られた方など、安心してご相談にいらしてください。

想定される合併症:眼異物感、皮膚のたるみ、再発
費用(保険適応の場合):片側 1割負担 7200円 3割負担 21600円 

2021年03月28日 18:38

切らない眼瞼下垂手術の例

無題

切らない眼瞼下垂手術前後の写真です (写真使用を許可して頂き有り難うございます!)。疲れた目元の表情であったのが、生き生きと若々しい感じになりました(笑)。

術後1週間の写真ですが、まぶたの腫れや皮下出血は目立たないのがお分かり頂けますでしょうか(=ダウンタイムが短い)。皮膚を切らないことから、本来の目元の雰囲気をくずさないことが大きな利点です。ご本人に手術中や術後経過での痛みについてお聞きしたところ、全く感じなかったとのことで、その点についても大変安心致しました。

若い方からお年寄りまで幅広く適応になり得る術式です。まぶたでお悩みの方は、是非一度お気軽にご相談ください。

想定される合併症:眼異物感、皮膚のたるみ、再発
費用(保険適応):片側 1割負担 7200円 3割負担 21600円 

2021年03月20日 17:30

切らない眼瞼下垂手術の欠点とは?

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前回・前々回と登場した経結膜挙筋腱膜タッキング法に関して、今回はそのデメリットとそれらの対策について書いてみようと思います。前回記載したメリットと対比しながら読んで頂ければ幸いです。それではいきましょう。

① 同一術野から皮膚切除を併施できない

② 下垂矯正程度の微調整が難しい

③ 角膜障害のリスク

まず、①は私が本術式について発表をするたびにご指摘を頂く点です(笑)。経皮膚法では、下垂手術(まぶたを挙げる)と同時に余剰な皮膚切除がしばしば行われます。一方、経結膜法は皮膚だけでなく、まぶたの中にある脂肪や軟部組織の切除も一般的に難しいと思われます。経結膜法の際に皮膚切除を別の術野として併施することは可能ですが、その場合、皮膚面に傷を付けない、短い手術所要時間といった経結膜特有の利点が損なわれてしまうことになります。

しかしながら経皮膚法と皮膚切除の同時手術は、重瞼幅(ふたえの幅)の程度予測がやや難しい点は注意する必要があります。重瞼幅は様々な要因で変化しますが、皮膚切開の高さは一定とすると、主にまぶたの挙がりと余剰皮膚量に影響を受けます。経皮膚法では皮下への麻酔によって皮膚が腫れるため、皮膚切除量の見積もりは下垂矯正の前に済ませておくことが一般的ですが、下垂矯正の結果、まぶたが予定していた高さよりも挙がりすぎた場合、重瞼幅は狭く(奥二重ぎみ)なり、反対に予定よりも挙がりが悪かった場合には幅の広いふたえとなります。重瞼幅は整容面を決定づける大事な要素の一つと以前お伝えしました。もしも多量の皮膚切除を行ったあとに下垂の矯正が思うようにいかなかった(挙がりが悪い)場合、とても広い重瞼幅となってしまい整容的に奇異な目元になる危険があります。経皮膚法で下垂手術と皮膚切除を同時に行うことは、術後の重瞼幅を予測する観点からは、ややリスクの高い行為といえます。なるべく希望どおりの重瞼幅にしたい場合、初回手術では下垂の矯正のみにとどめ、腫れが引きまぶたの高さが決定したあと、二期的に皮膚切除を行う方針とするのが良いかと思います。

経結膜法ではまぶたの腫れが少ないため、下垂矯正と同時に余剰皮膚量の見積もりがしやすく、下垂矯正と皮膚切除を併施する方法は、重瞼幅の予測の点からはむしろメリットになりえます。術野が異なる煩わしさはあるとはいえ、皮膚切除との同時手術は整容面では経結膜法に軍配が上がるのではないでしょうか。

②については手技的な問題です。まぶたの高さの調整は、筋への通糸部位を前後方向にずらしておこないます。本術式は、10mm程度の狭い術野であり、まぶたの裏側からの作業であるため、高さの微調整はやや難しい作業となります。術野を横方向に広げることで作業はやや容易にはなりますが、生理的なまぶたのカーブ形状を作るため固定点を増やすなどの必要が生じるかと思います。術野の状態と手術手技に対しある程度の慣れが必要かと思います。

③ 結膜面と眼表面は接しているため、眼表面を傷害してしまうリスクがある点を念頭に置く必要があります。まぶたは挙がったとしても、術後にゴロゴロと目が痛む状態では眼科医にとっては本末転倒であり最も避けるべき合併症です。

ただし、この合併症は未然に防ぐことができます。角膜障害が発生するパターンは決まっており、切開部位の誤りと縫合部の処理が不適切の2つに分けられます。その対策ですが、切開部位は瞼板よりも上方の結膜面におき、瞼板を切開しないように注意します。縫合部位は瞼板上端ではなく腱板の前面に置くとともに縫合部がほどけない程度の短い糸切りが必須です。この2点をしっかりと守ることで、角膜障害は可及的に防げますので、それほど恐れる必要はありません。

以上、私が考え得る本術式の欠点とその対策について説明してきました。まだ他にもありますよ、といったご意見(or ご叱責)がございましたらご指摘頂けると幸いです。

2021年03月12日 17:52

切らない眼瞼下垂手術の利点とは?

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前回の記事では切らない眼瞼下垂手術とは何か?のテーマで、経結膜法の全体像について説明させて頂きました。そこでは私が日々おこなっている経結膜挙筋腱膜タッキング法のことも実際の手術動画を含めてご紹介しました。本術式は経皮膚法と比較すると、多くの利点を有する術式といえますが、今回はそのメリットについて書いていきたいと思います。以下に列挙します。

① 皮膚に傷跡が残らない

② 皮下出血・腫れが少ない

③ 高い矯正効果

④ 術中定量との相違(ズレ)が少ない

⑤ 整容面での左右差が生じにくい(特に片側のみの手術例)

⑥ 兔眼が出にくい

⑦ 短い手術所用時間
⑧ 麻酔時の痛みが少ない
⑨ 皮下の瘢痕が少ない

⑩ 電気メスやレーザーメスなどの機器が不要

それでは一つずつ説明していきます。

まず、①と②は経結膜法全般に当てはまります。皮膚面を切開しないことは傷跡が残らないだけでなく、まぶたを開ける際の自然な二重の動きが再現されます。また、術後のダウンタイムが極めて短いことから早期社会復帰が可能です。実際、手術を受けた方から、”まぶたは挙がっていても、手術を受けたことを周りの方に気付かれなかった”との喜び?驚き?のお声を頂くことがあります。

続いて、③についての説明です。まぶたを引き上げる筋の走行は、眼球に近い結膜側の深部から手前に伸びています。そのため結膜からのアプローチでは、狭い範囲の術野であっても筋の深部への到達が容易であり、筋の前転量を稼ぐことができます(=重度の下垂でもまぶたを挙げやすい)。経皮膚法では必発である一過性の兎眼(目が完全に閉じれない)が本術式であればほとんど生じないことも前転量を稼げることに一役買っています。重度下垂や先天眼瞼下垂など難易度の高い例にも有効とされ、挙筋群短縮や前頭筋つり上げ術などの侵襲の高い手術法を回避できることが多くあります

④ 術中定量とは、手術中にまぶたの高さや形状などが適切な状態にあるか確認する作業のことをさします。良好な手術結果を得るための大切な工程といえますが、まぶたの腫れや麻酔薬の影響などで術中定量が不正確となってしまうことがあります(術後しばらくしてからまぶたの高さが変化してしまう・・・)。この点は術者・患者さん双方にとって大きな懸念事項といえます。しかしながら本術式では腫れがほとんど生じないこと、少ない麻酔使用量(経皮膚法の1/3程度)であることから、正確な術中定量が担保されやすく、以前よりも自信をもって手術を終えることができるようになりました。また、手術で触る範囲は狭い範囲に限定されるため、まぶたの形態が維持されやすく、自然な形での挙がりが期待できます

⑤ 左右の違いは、例えわずかな差であったとしても気付かれやすく、それが目元であればなおのことと思います。まぶたの高さの左右差のみならず、重瞼(ふたえ)幅の左右差は特に整容的に不利な結果になるとされています。片側のみの眼瞼下垂に対して経皮膚法を選択した場合、まぶたの高さ・カーブ形状・重瞼幅のすべてを左右差なく揃えるのは熟練した術者であってもなかなか難しいといえます。しかしながら、本術式を用いた場合、正確な術中定量・形状維持のしやすさ・重瞼の状態をくずさない、といった特徴から先の3要素を揃えることは比較的容易にでき、整容面での優位性も大きい術式といえます。

⑥ は先に述べましたが、皮下への麻酔は不要なため眼輪筋(目を閉じる筋)の麻痺は生じることはないといえます。手術直後においても閉瞼可能なことから、ドライアイに起因した症状や角膜障害などは通常みられず、”目に優しい術式”といえます。

⑦ 本術式に要する時間は、術中定量も含め、通常5分程度です。先天下垂など難易度の高い症例においても10分を超えることはまずありません。短ければ全て良し(笑)、、とは言えませんが患者さんの負担が少ないことは確かです。

⑧ 結膜への麻酔薬注射は、皮膚側への注射(経皮膚アプローチ)よりも痛みは少ないです。

⑨ 何らかの理由で再手術を要する場合、今度は経皮膚法を選択するのが無難と思われますが、前回手術の影響で生じた硬い瘢痕は、結膜側のわずかな範囲に限定され、皮下には生じません。一方で、経皮膚法の手術歴のある方の場合、前回切開部位の皮下に硬い瘢痕を生じており、不利な点として麻酔が効きにくく術中の痛みを感じやすいです。術野の展開も前回手術の影響を受けることになりますが、仮に初回手術が経結膜法であったとすれば術野の展開はあたかも初回手術のごとく行うことができます。

⑩ は術者側にとってのメリットといえます。電気メスやCO2レーザーなどの高額な機器は不要であり、メスと剪刀といった外来処置レベルの器具があれば施行可能です。

以上、私が考えうる本術式の利点についてご紹介しました。まだ他にも私自身が気付いていない利点があるかもしれません(笑)。次回は本術式のデメリットについても記してみたいと思います。

 

2021年02月20日 22:26

切らない眼瞼下垂手術とは?

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まぶたが垂れ下がり視界が狭くなる疾患を眼瞼下垂といいます。加齢や目の手術歴、一重瞼、コンタクトレンズ装用、まぶたをこする癖、などは眼瞼下垂の発症リスクといえます。眼瞼下垂に対する手術法には挙筋腱膜前転、挙筋短縮術、ミュラー筋タッキングなどなど、バラエティーに富んでいるようにみえますが、まぶたを挙上させる筋力を増強する、という点ではいずれの方法も大差はありません。一方、まぶたへのアプローチ法には皮膚側(前面)からの経皮膚法と、結膜側(後面)からの経結膜法の2通りがあり、どちらのアプローチ法を選択するかによって、手術結果に大きな違いがでてきます。

最近、広告などでよく”切らない眼瞼下垂手術”といったワードを聞いたことがある方も多いと思います。この”切らない”とは、”皮膚を切らない”ことを表す訳ですが、それと同時に経膜側からのアプローチを意味します。経結膜法では皮膚面に傷跡は残らないうえ、経皮膚法で避けることの出来ないまぶたの腫れや出血といった術後合併症も極わずかです(=ダウンタイムが極めて短い)。

しかし、ここで注意して頂きたいことがあります。国内の形成外科や美容外科における、切らない眼瞼下垂手術(=経結膜法)の大半は、”埋没法による手術”を指すという事実です。埋没法とは創部を展開することなく、結膜面から筋肉(と思われる)部位に通糸する方法です。埋没法では肝心の筋肉を直視することができないため、手術効果の確実性や永続性(再発が少ない)は必ずしも担保されません。つまり、まぶたの挙がり具合が不十分であったり、手術時には挙がったとしても、またすぐに落ちてしまうといったことが起こりえます。埋没法は簡便な方法ではありますが、経皮膚法の裏返しということではなく、全く異なる方法といえます。

そこで、経結膜法の利点を生かしながら、経皮膚のような効果が得られる方法を考案してみました。名付けて”経結膜挙筋腱膜タッキング法”です。本法は結膜を切開し創部を展開後、直視下に筋肉を露出させるため、常に安定したまぶたの挙上効果を得ることができます。この術式を用いるようになってから、傷が出ない、手術後の腫れや出血が抑えられるといった経結膜の利点だけでなく、手術結果についても経皮膚と同等、もしくはそれ以上のものを期待できるようになりました。参考までに手術動画へのリンクを付けておきます(実際の手術ビデオですので、苦手な方は視聴をご遠慮ください。)
https://youtu.be/qvpMvNKMZLU

”本術式を教えて欲しい”、とお声掛けくださった先生方から”こんなに簡単に綺麗にまぶたを挙げられるなんて驚きました”といった嬉しいお言葉を頂きました(笑)。

結膜の切開は我々眼科医にとって馴染みある手技であり、本アプローチ法は眼球を管理できる眼科医が手掛けるべき方法であると思います。
”切らない眼瞼下垂手術”は、一見すると魅力的に聞こえるキャッチフレーズではありますが、実際の中身についてよく調べてから(主治医とよく相談のうえ)治療を受けられることをお勧め致します。

2021年01月10日 11:58

眼形成webセミナー講演しました。

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先日、眼科関連の企業共催のもと、眼科医師向けに眼形成関連の話題でセミナー形式の講演をしました。学会などで話す機会はそれなりにありますが、webでの講演は初めての経験であり緊張しました。視聴して頂いた先生方には、改めまして御礼申し上げます。

題目は、”日常診療でよく出会う眼形成疾患の診断と治療”としまして、眼瞼下垂(まぶたが下がる)、眼瞼内反(逆さまつげ)、眼瞼腫瘤(目周りのしこり、イボ)、流涙症(なみだ目)における診断と治療のエッセンスについて40分間お話ししました。企業共催の講演会でしたが、話す内容は先生のお好きなように、とのことでしたので(講演会でよくあるのが、共催企業に関連のある話しに話題が限定されてしまうことも多い)、普段の学会などではあまり話さない(話せない??)ような当院での経験を色々とお伝えできたかと思います。

眼形成は眼科の専門分野の中でもニッチな領域であることは以前よりお伝えしていますが、日常の眼科診療において眼形成の診察や治療が必要とされる場面は決して少なくありません。一例をあげますと、眼科で日常的に行われている内眼手術(白内障手術や硝子体手術)の後、手術の後遺症として眼瞼下垂を発症してしまう確率は11.4%に達すると言われています。つまり、目の手術を受けた10名のうち、少なくとも1名は手術前よりもまぶたが落ちてしまっているということになります。また、長期間のコンタクトレンズ装用が眼瞼下垂を発症するのはよく知られた事実ですが、その頻度はハードレンズ装用者では17倍の発症リスク、ソフトレンズ装用でも8倍のリスクがあるとされています(未装用者との比較)。コンタクトレンズが市場に出回るようになってかれこれ30~40年以上経過していることを考えると、眼瞼下垂の患者さんは今後も増加の一途をたどることが予想されます。

また、治療面においても眼形成のテクニックが役に立つ場面は多くあります。例えば、まぶたの炎症や涙目に点眼や眼軟膏を長期間処方されるも、全く改善しない患者さんがいるとします。このような方に、シンプルなまぶたの皮膚切除をおこなうだけで永らく悩まされていたつらい症状から解放されたといった例や、一重まぶたの若い患者さんが重瞼術(二重手術)を受けた結果、尾毛を使わずにクリアな視界が得られるようになった、といったこともしばしば経験されます。

誤解を恐れずに言うと、多くの眼科医はこういった事実や治療の可能性に気付けていない(もしくは重要視していない?)これが(残念ですが)眼科医療の現状と考えられます。しかし、裏を返せば、他の眼科医や患者さんに対して広く情報発信できていない、我々(眼形成外科医)の責任ともいえると思います(反省要・・・)。

永らくまぶたの疾患や涙目などで悩んでおられる方々へ、適切なアドバイスが届く機会が増えるように、今後も講演や執筆活動を精力的に続けていきたいと思います。

2020年12月19日 21:29

眼瞼下垂症手術 同意書マニュアルを執筆しました。

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臨床眼科(医学雑誌)の2020年度版 増刊号が先月発刊となりました。患者説明同意書マニュアルと題して、手術や検査に際して患者さんに説明をするうえでのポイントを解説した本になります。そのうちの、眼瞼下垂症手術(挙筋短縮術、吊り上げ術)の項目を担当させていただきました。医学雑誌ですので、一般の方は知る機会はあまりないと思いますので、本日はその内容の一部を解説します。眼瞼下垂手術を検討されている方への参考になれば幸いです。

眼瞼下垂の手術を希望される患者さんが手術の内容をよく理解するために、機能面である矯正量(どこまでまぶたを挙げるか)と整容面の変化、この2点の意思確認が大切となります。

まず、矯正量ですがどの程度の高さが良いのか、ブジー(金属製の細い棒)などを用いて瞼を持ち上げて目元の感じを確認する(事前シミュレーション)をしながら決定します。その際、もともとドライアイ(乾き目)傾向の方や高齢者などでは高く設定しすぎないように注意します。挙筋機能といってまぶたを挙げる筋の筋力が弱い場合には、希望通りの高さにまで挙がりが足りない結果となることもあります。実際の手術ではまぶたの上がり具合を確認しながら微調整(術中定量)します。ただし、手術中のまぶたの腫れや血腫(血の塊)、麻酔薬などの影響によって、定量具合と術後の高さとの間に”ずれ”が生じることも稀ですがあります。

整容面では重瞼(二重のこと)の幅についての理解が最も大切で、希望の広さを事前に確認するようにします。ただし、重瞼幅は切開ラインの高さ、重瞼の折り込みの程度、余剰皮膚量や眉毛の高さなどによっても影響を受けるので、予定した通りの幅にならないこともあります。このあたりは術者の経験に最も左右される部分といえるかもしれません。術後のまぶたの腫れや出血についてはよく質問される内容ですが、手術方法によっても変わってきます。一般的には皮膚を切開するアプローチ法では、1~2週間程度、皮膚を切開しないアプローチ法では数日~1週間程度の腫れは出ると思っていてください。

眼瞼下垂手術は機能面と美容面での両立を求められる手術であり、上記に記した内容以外にも様々なチェック項目があります。眼に優しく、美しい仕上がりのまぶたを常に提供できるように眼形成外科医は日々腕を磨いています。

眼瞼下垂の手術は保険診療の範疇においては、整容面(見た目の部分)での修正は出来ないとされているため、初回の手術が何より大切です。満足のいく結果が得られるよう上記の内容を参考にしていただき、主治医とよく相談されてから手術を受けることをお勧めします。

2020年12月18日 00:27

眼形成におけるエビデンスとは?

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医療行為をおこなう上でエビデンス(科学的根拠)の有無やその信頼度は学会発表や日常診療の場面においても重要視されています。医療におけるエビデンスは日々発行されている医学論文によって日々形成されていくのですが、論文にはどのような内容が書かれているか、皆さんご存知でしょうか?

論文には様々な形態があるものの、基本的構造は皆、概ね同様であり、ある行為と行為を比較するなかでその優劣を論じる内容になっています。比較をするためには、比較される対象が同様の指標で表される必要があり、さらに言えば、できれば”有り・無し”といった定性的な指標ではなく、定量的な数値であるほうが比較をする上で優劣の判定が容易であるといえます。

眼科では目の構造や機能を調べる検査機器の発展がめざましく、以前は定性的な評価がメインであった時代から、今は定量的な測定が当たり前の時代になりました。視力や眼圧(目の内圧)、角膜や網膜の詳細な数値データが容易に得られ、それらを用いた論文が数多く作られています。

しかし、こと眼形成においては、比較対象の定量化に関してとても弱い側面があります。その理由は、まぶたの善し悪しを評価する上での括弧たる定量的指標がないからです。まぶたは高さだけでなく、そのカーブ形状であったり、二重幅の均一性、引いては個人の美的センスによっても良し悪しの評価は変わるものであると思います。

そのため、眼形成はエビデンスが作られにくい分野であり、医師個人の経験やセンス(?)といったものが学会などで未だに発表されているといった現状があります。もちろん、そういったものを否定する訳ではありませんし、豊富な経験に基づいた知見は医学の発展に不可欠なものといえます。しかし、それのみでは眼形成は眼科領域の中でニッチな分野のまま、取り残されていってしまう、そんな気がするのです。

医学はあくまでもサイエンスであり、眼形成分野でも医師個人の経験だけでなくエビデンスに基づいた議論をし合える土壌が出来てくると良いなと思っています。

2020年12月12日 00:21

眼形成はどこまでを治療対象とするか?

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前回は"眼形成'という医療用語の説明をしました。今回は眼形成における治療対象とは何か、について書いてみたいと思います。

知り合いの眼科ドクターから、"眼形成ではどこまでを治療できるの?"といった質問をいただくことがしばしばあります。一般眼科診療における眼形成の位置づけはまだまだニッチな領域と言わざるを得ない状況です。このような質問に対しては、自分はいつも、”目の機能を守るための形成治療なら何でもします”、と答えるようにしています。
あまりに漠然とした答えだ、と思われるのも無理はないかと思いますが、眼形成はここからここまでといった治療対象についての明確な線引きが無い領域であることに起因します。

例をあげますと、重度の逆さまつげの方に対して、耳などから軟骨を採取してまぶたの土台に利用したりします。また、下腹部から脂肪を採取して、まぶたの癒着の解除や眼球の円滑な動きを促すといった目的で眼球周囲に脂肪移植をしたりすることもあります。つまり眼表面の環境を整えるため、目周りだけでなく全身が手術対象である、といった特徴があります。

そのため、眼形成の専門医には眼科や形成外科、耳鼻科、脳外科の手術手技のみならず、腫瘍内科、放射線科、病理などの知識も時として必要になります。海外では、まぶたの美容外科手術も眼形成専門の医師がメインでおこなっています。そのため、眼科のみの知識だけではとても対応することは出来ません。科の枠組みを超えたスキルが時に要求されます。日々、勉強が必要なわけですね。

当院もこれまで同様、常に最先端の知識や技術に触れて、”目の機能を守るための形成治療”を引き続き多くの皆様に提供していきたいと思っています。

 

2020年12月02日 20:59

眼形成という医療用語はご存知でしょうか?

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眼形成という医療用語をご存知でしょうか?

眼形成とは、眼瞼(まぶた)や涙道(涙の通り道)といった目周りの器官に生じた加齢変化や病気を扱う分野のことを指します。眼科は様々な専門領域に細分化されていますが、眼形成はそのうちの一つになります。つまり、眼科の領域になりますので、当然、眼に関する知識を有した医師(眼科医)がまぶたの形成外科的手術や涙道の手術を行います。

眼形成を専門とする医師を眼形成外科医と呼びます。しかし、その名称は世間一般にはあまり広まっているとは言えません。現在、国内における眼科と形成外科、それぞれ専門医の数はおよそ13000名と3500名おりますが、眼科と形成外科の融合である眼形成を専門とする医師が国内では非常に少ないといった現状があるためです。それはなぜでしょうか?

眼科では従来より、久しく白内障手術や硝子体手術といった内眼手術(眼の中の手術)の発展がめざましく、眼科医は眼球自体を切開することに全く抵抗はありません。しかしその反面、目周りの手術である外眼手術は一般的に敬遠される傾向にあり、皮膚を切ることに抵抗を感じる若手の医師が増えています。一方、形成外科では皮膚を切開することに慣れた医師が多いとはいえ、眼に関する知識やまぶたと接する眼表面の詳細な診察はできません

眼とまぶた(の裏側)には接触するポイントがあり、そこの接触圧が適切なレベルに維持されることは健全な眼表面を保つうえで非常に大切です。手術後などで接触圧が過度に変化すると、スムーズなまぶたの開け締め、いわゆる”健全な瞬き”が出来なくなり、異物感やドライアイといった術後トラブルを招くことになってしまいます。以上より、まぶた治療では眼表面に対する配慮が不可欠といえます。

”まぶたの手術は眼科もしくは形成外科のどちらで受けるのが良いか?”といった質問を頂くことがありますが、個人的な意見としては、眼についての深い知識と高いレベルの形成手術を融合した”眼形成外科医による眼に優しい形成手術”が、機能面と整容面におけるベストな選択肢であると思います。

私自身、長く眼形成診療をしておりますと、まぶたや涙道の疾患で悩みながらも、適切なアドバイスや治療法があることを知らされずに途方に暮れている方によく出会います。眼科と形成外科、異なる2つの科の間には大きな開きがあり、その隙間に落ちてしまった方々に正しい情報を提供していきたいと思っています。眼形成のことを広く皆さんに知ってもらいたい、それが私の願いです。

2020年11月30日 18:29
診療時間
 
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PM - - -
9:00~12:00/14:30~17:30
「●」は9:00~13:00
休診日:水・日・祝日
受付開始は診療開始15分前から、受付終了は診療終了15分前まで。
眼鏡・学校検診は事前にお電話でのご予約が必要となります。
03-5761-4406
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東京都狛江市和泉本町4-2-13 SANTE SAKAE 102

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