下垂手術ではどこを切っているのか?皮切ラインにおける考察

写真は眼瞼下垂手術の際のデザインを示しています。デザインとは予定切開ラインのことで、描かれている3本のラインは下が予定切開ライン、中央が生来の二重ライン、上が皮膚切除のラインになります。ちなみに手術では予定切開ラインから皮膚切除のラインまでに囲まれた領域を切除する方針のため、中央のラインは今回説明のため便宜的に書いています。つまり手術で切開するラインは生来の二重ラインとは異なることが一般的です。仮に、生来の二重ラインで切開しそこで二重作成をしてしまうと、とても広い二重幅になってしまい機能的にも整容的にもまずい結果を招くことになります。なぜ本来の二重ラインであるにも関わらず、このようなことになるのでしょうか?
その原因は生来の二重によって作られる陥凹と手術で作られた陥凹の違いに起因します。生来の陥凹にはそこに多くの皮膚を納めておくことのできるスプリング様の柔らかさがあります。しかし、一旦人工的に二重を作成してしまうと、その柔らかさが失われて、陥凹内のスプリング機能が低下します。つまり、作られた二重ではその内部に納めておける皮膚の量が減少してしまうことになります。私の経験上、少なくとも5,6mmは違いがあるようです。人工的に作られた二重はどんなに綺麗な容姿であったとしても生来生まれ持った二重とは根本的に作り(機能)が違うものなのです。
見方を変えますと、人工的な二重では生来の二重の状態よりも、相対的に皮膚余剰が出てしまうと言い換えられます。このことは経皮膚の下垂手術において、術前と同様の二重幅を維持するためには少なくとも5,6mmは皮膚を切除する必要があることを意味しています。因みに切らない下垂手術では生来の二重を維持できるため今回の件は必ずしも当てはまりません。切らない下垂手術は皮膚切除を併施できないことが欠点としてよく問題にされますが、上記の点については理解しておく必要があると考えます。本日は切開ラインにまつわるお話でしたが、お分かり頂けましたでしょうか?
2023年06月21日 11:24