眼瞼皮膚弛緩症に対する治療について

まず病態についてですが、眉毛から睫毛までの距離は(骨格的な距離として)個人個人に決まった長さがあります。その長さに一致した皮膚の量(=バランスが取れた状態)であれば問題ないのですが、加齢とともに皮膚が薄く伸びてきてしまうことで骨格の距離に比して皮膚の量に余剰が生まれます。このアンバランスな状態は睫毛に対して負荷を掛けることとなり、その代償として眉毛を挙げる行為がまぶたの重みや眼精疲労、頭痛・肩こりなどを招くことになります。
眼瞼皮膚弛緩症に対する代表的な治療法には眼瞼形成術と眉毛下皮膚切除術があります。両術式にもそれぞれで様々なバリエーションがあり、それを加味しますと数多くの術式が存在することになりますが、大切なことはいずれの術式においても崩れてしまったバランスを整えて睫毛に対する負荷を減らすというコンセプトは共通しています。では次に、どのように術式を選べば良いのか、ここでは簡潔にご説明しますと、二重(ふたえ)がしっかりしていない状態の方には、当院では原則、眼瞼形成術をお勧めしています。二重を作成することは一重(もしくは一重に近い二重)の方に比べ再発予防、目立たない傷跡、視機能改善といった点で優位性があるためです。ただし、一重の方の場合、二重になることで見た目の変化は避けられませんので、そのことを気にされる場合には別の術式をご提案することになります。
写真は眼瞼形成術の例になります。術前と比べて、手術後では正面視・上方視ともに視界の広がりを容易に想像して頂けるかと思います。それだけでなく上記に記載したような機能的な改善も得ることができます。次回は眼瞼形成術と眉毛下皮膚切除術、両術式における選択のポイントについて解説します。
2023年11月20日 09:30