眼瞼下垂手術における定量時の確認事項について

定量時の確認事項を大まかに列挙しますと、
① まぶたの高さ ② カーブ形状 ③ 二重の幅 ④ 兎眼の程度 ⑤ 眉毛の高さ
となります。
① まぶたの高さは始めに確認すべき項目です。患者さんがもともと有している上眼瞼挙筋の筋力次第で、容易に挙がるまぶたもあれば大量に筋を引っ張っても挙がりにくいまぶたもあります。挙げ幅は最大でも上方に白目が出ない程度に留めることは言うまでもないことですが、術後にドライアイを発症するリスクが高めの方では通常程度の挙がりであっても目が乾いてしまい痛みに繋がることがあるため、その場合には定量時に高さを控えめとしなくてはなりません。この点の確認は眼科医であれば出来ることから、目に優しい眼瞼下垂手術を最優先にお考えの方は、まずは眼科医にご相談されるのが良いかと思います。
② カーブ形状とは上まぶたの瞼縁の形状のことを指します。上向きになだらかな曲線である状態が生理的なカーブ形状です。カーブの頂点の位置は個人差はあるものの大抵の場合、瞳孔中央上もしくはやや外側寄りに位置します。しかし筋の前転後、カーブ形状は大なり小なり変化してしまい、頂点の位置が内側寄りか外側寄りかで見た目の印象は大きく異なってくることがあります。三角目はもとより、頂点の位置の変化は整容面で大きな問題になることがあります。
③ 二重作成後には二重の幅についても確認します。以前のブログで二重幅を決定する因子について(術後の二重瞼の幅を決める要素とは?)、またカーブ形状と二重幅の関係性について(切らない眼瞼下垂手術:生理的なカーブ形状の利点について)それぞれ説明致しました。お示しした写真の例ですが、まぶたの高さ自体には左右の写真ともほぼ違いがみられません。しかしながら、頂点の位置がわずかに異なることで二重幅の違いが生じている例(左:不均一の例、右:均一の例)になっています。①~③の項目はそれぞれが互いに密接な関係にあり、単一の項目のみを評価すべきものではありません。定量においても真っ先に確認すべき内容といえます。
④ 兎眼とは目が閉じきれない状態を指しますが、皮膚を切る手術では麻酔によって目を閉じる筋肉である眼輪筋も麻痺するため、手術中における兎眼はある程度、許容することができます。兎眼の程度は目の安全を確保するうえで大事な項目ですが、許容できる程度はお一人お一人で異なるため、個別に検討すべきと考えます。また、筋の前転量が足りているかどうかを予想する上でも兎眼の程度は参考となります。これについては後日また解説したいと思います。
⑤ 眉毛の高さについては、下垂がある状態ではまぶたを何とかして挙げるため代償として過剰に挙がっているのが通常です。下垂治療がうまくいっていると下降する傾向にありますが、眉毛を挙げる癖次第では下がりにくいこともあります。その場合、二重幅は予想より広くなってしまいますし、反対に予想より眉毛が下降した場合には皮膚被りや二重幅にも影響を与えてきます。
本日は眼瞼下垂手術の定量時における確認事項について解説しました。やや専門的な内容でしたが、手術を受けられる方にとっては誰しも経験する”ちょっと気になる知識”といえたのではないでしょうか。下垂治療を検討されている方の参考になりましたら幸いです。
2024年03月27日 16:27