眼瞼下垂手術における保険診療と自費診療の違いとは?
まず、よくある解釈として「まぶた治療での保険では見た目の善し悪しは考慮されない。自費では綺麗に治療してもらえるので、予算が許すならば手術は眼科ではなく形成外科(美容外科)で受けるほうが良い」というものがあります。当院はこの解釈について、保険と自費の違いの一部を表すものの概ね正しくない説明であると考えています。
その理由を述べる前に、眼瞼下垂手術で得られる効果について考えてみると、機能面の改善と整容面の改善の2つに大きく分けられます。機能面の改善は視界の広がりやまぶたの重み、目の疲れの解消など主に眼科的な症状に対するものであり、整容面の改善は疲れた表情の解消やまぶたの高さや二重幅の左右差の解消など主に形成外科的な症状に対するものといえます。保険の目的は機能面の改善とされますので、これが先の説明の根拠といえるかと思います。しかし、見た目を優先するあまり、肝心の機能面での改善が得られていない例であったり目の安全への認識不足による術後の眼トラブル例で眼科へ相談に来られる方は少なくありません。また、そもそも美的感覚には個々人で違いがあり、そのことは患者さんのみならず個々の医師においても違いがあることはしばしばです。美容外科の症例写真などで、手術後に綺麗な目元になっています、との説明書きがなされているも、我々眼形成専門の立場からみて綺麗の基準に対する疑問を持たざるを得ないことはよく経験されます。つまり、見た目の美しさが主観的なものである以上、美しい仕上がりになるかどうかは保険と自費の違いには必ずしも結びつかないと考えています。では、当院が考える保険と自費の違いはどこにあるのでしょうか?
結論から述べますと、整容面におけるご要望をお受けするかどうか、これが保険と自費の線引きラインであると当院は考えています。つまり整容面に対して自分なりのこだわりがあり、それを医師と相談しながら手術を受けたい場合(例えばまぶたの挙がり具合や二重幅を何mmくらいで揃えたいとか、厚みのあるまぶたをすっきりさせたい etc)、自費による対応が妥当であると考えます。術後結果に対するコミットメントも行うため、機能の改善に加えて左右差の少ない状態を確かに作りたいとの意向が強ければ、初めから自費を選択されるほうが合理的です(当然ですがご要望が無理な内容であったり、機能的に悪化してしまうことが予想されるデザインならばお断りすることもあります)。一方で保険では整容面のご要望は受けられないことになりますが、これは見た目に配慮しないということではありません。当院のような眼形成の専門施設では、機能的な改善が期待できることに加えて、整容面への高い意識を持って日々手術をおこなっており、保険であったとしても機能が伴った自然な仕上がりを期待して頂くことは出来ると考えています。ただし、結果的にご自身の中で許容しがたい見た目であったり左右差ができてしまった場合でも保険による追加治療は難しいことは付け加えておきたいと思います。
本日の内容がまぶた手術をご検討されている方の参考になりましたら幸いです。
2022年09月27日 16:27