眼瞼皮膚弛緩に対する皮膚切除の例
まぶたの皮膚の弛みは、まぶたの縁を超えて皮膚が垂れている場合(視界が遮られた状態)やまぶたの重みを自覚している場合などに「眼瞼皮膚弛緩症」と診断されます。本疾患はまぶたの縁が下がった状態である眼瞼下垂とは基本的に異なる疾患で、眼瞼下垂に合併していることもよくあります。まぶたの皮膚は加齢とともに伸展していく(=皮膚余剰が増える)ため、ご高齢の方に非常に多い疾患といえます。治療を受けて皮膚弛緩を解消させると、視界の広がりやまぶたの重みの解消、見た目の若返りなどの効果が得られます。
眼瞼皮膚弛緩症に対しては、主に瞼縁部(二重の部位)もしくは眉毛下、眉毛上での処置があります。この内、眉毛上は傷跡が特に目立つ部位となるため、通常は瞼縁部もしくは眉毛下が選択されます。本日は瞼縁部での皮膚切除例についてご紹介します(眉毛下皮膚切除については以前記載しましたので過去ブログを宜しければご参照ください)。
症例は60代の女性です。もともと二重(ふたえ)がある方で、二重ラインは両側ともに瞼縁から9mmの高さにありました。そこを下方の切開線に設定して、そこから上方に11mmの幅で切除部位をデザインし、皮膚切除後、縫合しています。
瞼縁部での処置の場合、通常は皮膚切除とともに重瞼を作成します。しかし、本例のようにもともとはっきりとした二重をお持ちの方の場合には皮膚切除のみの術式(単純皮膚切除)のみで問題ないことが多いです。本術式は皮膚および皮下といったまぶたの浅い部位のみが術野となるため、まぶたへのダメージがとても少なく、自然な二重を維持する上で大変有用な方法です。ただし、単純な術式とは裏腹に、見た目の左右差を生じさせない上で押さえておくべき大切なポイントがあります。まず切開線を既存の二重線から絶対にずらさないことです。わずかでもずれがあると、新たな線を作ることになってしまうため二重ラインとは別に傷が目立ってしまいます。また、左右の余剰皮膚量を正確に見積もり、それに応じて切除量を左右で微調整させる必要があります。これは重瞼を作成する方法と違って、本術式では余剰皮膚のわずかな違いが表に出てきやすいことによります。従って、手技自体は大変シンプルなものなのですが、良い結果を出すためにはやや経験を要する術式といえるかと思います。
まぶたの様子はお一人お一人で異なり、同じまぶたであることは決してありません。当院で治療を受けられる全ての方にご満足頂けるよう、画一的ではなくその方にとっての最適な術式を常にご提案させて頂いています。まぶたでお悩みの方は是非一度、当院へご相談ください。
2022年08月12日 15:33