眼瞼内反症(逆さまつげ)の治療について
”逆さまつげ”という言葉、聞いたことがある方も多いと思いますが、医学的にいうと異なる病態をひとまとめにした用語になります。区分けとして、まぶたの向きに問題がある「眼瞼内反症」、睫毛(まつ毛)の向きに問題がある「睫毛内反症」、睫毛の生え方に問題がある「睫毛乱生症」に分類されます。本日は下まぶた全体が眼球側に倒れこみ目に触れた状態である「下眼瞼内反症」について記載します(若年者に多い睫毛内反症については、後日ブログでご紹介します)。
症状は、眼がゴロつくといった眼異物感、充血、眼脂(メヤニ)が代表的です。長期間放置してしまうと角膜が混濁して視力が低下してしまうこともあります。本疾患の病態は下まぶたを支える周囲構造の緩みや下まぶた自体の劣化が原因であり、60代を超えると徐々に発生頻度が増加します。自然軽快は期待出来ないため発見次第、治療することが望ましいといえます。
治療法は「糸による埋没法」と皮膚を切開する「切開法」に分かれます。埋没法は簡便でまぶたへの侵襲も少ないのですが重症例や再発症例では適さないことが多いです。一方、切開法はどのような例に対しても適応可能であるとされ、まぶたの状態に応じて治療法を選択をすることが大切です。
一口に切開法といっても様々な方法があるのですが、最も安定した成績が出せる術式がLER前転法になります。LERとは下眼瞼を下方に下げる役割を持つ下まぶた内部の構造体であり、下眼瞼内反症ではLERの緩みが主原因とされています。このLERを引き締める効果を有するLER前転法は病態に即した治療であるといえ、非常に低い再発率を達成できる術式になります。しかし実際は人のまぶたも十人十色であり、どのようなまぶたであっても同一の術式で低い再発率を達成できる訳ではありません。当院では様々あるまぶたの状態に対しても安定した成績が出せるようにLER前転法に一工夫を加えた治療を行っています。是非安心してご相談にいらしてください。
先に述べたその他の逆さまつげについても治療法はそれぞれ異なりますので、後日またブログで書きたいと思います。
2022年02月28日 17:19