まぶたにできる怖い”できもの” 「眼瞼悪性腫瘍」

まぶたにできる”しこり”や”イボ”、所謂まぶたのできものでお悩みの方は多いと思います。まぶたには実に多くの種類のできものが生じますが、分類上、ものもらいや霰粒腫に代表される炎症性のもの、嚢胞性(水風船のようなもの)のもの、その他、腫瘍性のものなどがあります。たいていのできものは”医学的に大きな問題となることは少ない”ため、ゴロつくといった異物感や整容面などでご本人が気になるようであれば手術で切除したりします。しかし、なかには決して見逃してはいけない”怖いできもの”が存在します。
写真は代表的なまぶたの悪性腫瘍になります(全て自験例です)。悪性腫瘍は上皮性のもの(いわゆる”癌”)と非上皮性(悪性リンパ腫や白血病など)のものに分かれ、まぶたに関連が深い悪性腫瘍といえば、癌とリンパ腫が挙げられます。まぶたにも癌ができるの!?と驚かれる方もおられると思いますが、無理もありません。まぶたの悪性腫瘍は統計上、希少がん(6例未満/10万人)の扱いとされ、眼科診療の場面においても悪性腫瘍を診察する機会は非常に限られます。そのため、重要な疾患であるにも関わらず、認知度が低いためか良性のしこりとして診断されていたり、適切な検査がなされずに様子見となっている例なども残念ながら存在します。しかしながら上記の例は全身にできる癌と同様、局所で際限なく大きくなる(目周りの組織を壊す)だけでなく、全身へ転移をきたし命に関わることもあるため、様子をみることは基本的に許されない疾患といえます。癌治療における原則である早期発見、早期治療はまぶたの悪性腫瘍でも同様であり、手遅れとなってしまう方を少しでも減らすために疾患の認知度を高めていく必要があります。
当院は悪性腫瘍を含めたまぶたのできものに対する豊富な治療経験があります。次回のブログでは悪性腫瘍に対する診断のポイントや当院で行っている眼形成のテクニックを用いた最新治療の実際についてお話ししたいと思います。
2025年05月01日 21:05