眼瞼下垂手術後の上眼瞼溝の変化について
今回は眼瞼下垂手術後の上眼瞼溝の変化についてご紹介します。上眼瞼溝とは眉毛部の少し下方にある凹みのことで、眼瞼下垂を発症するとこの陥凹がより目立ってきます(上眼瞼溝深化)。この上眼瞼溝の変化は、眼精疲労の原因となるだけでなく、疲れた表情や以前よりも年老いた目元に見えることから整容面における不利益に繋がります。
眼瞼下垂を発症すると、なぜ上眼瞼溝深化が生じるのか、はっきりとした定説はまだありません。多数の手術所見から推察すると、まぶた内部の脂肪組織(眼窩脂肪)が奥に引き込まれた状態となっていることと関係がありそうです。症例写真は左側のみ眼瞼下垂手術を施行した例になります。左側では手術前に見られた非常に深い上眼瞼溝の凹みが術後にだいぶ浅くなり、その結果、若々しい目元になっていることがお分かり頂けます。これは、まぶたを挙上する筋を前方に引き出し固定する際に脂肪組織も同時に引き出されることに起因します。とするならば、術式によっても上眼瞼溝の変化の程度は変わってくるかもしれません。このあたりは今後の課題とさせて下さい。
高く引き上がった左眉毛も術後には落ち着いた位置になりました。以前少しお話しした機序によって、頭痛や肩こり、眼精疲労、うつなどの精神状態も改善されることが期待できます。眼瞼下垂手術の効用には実に様々なものがありますが、視力や眼圧といった眼科的検査での数値では表しにくいことから、ともすれば”年のせい”にされてしまい治療の機会を逃してしまう場面もまだまだ多いと思われます。まぶたでお悩みの方は是非一度ご相談ください。
想定される合併症:眼異物感、皮膚のたるみ、再発
費用(保険適応の場合):片側 1割負担 7200円 3割負担 21600円