眼形成はどこまでを治療対象とするか?
前回は"眼形成'という医療用語の説明をしました。今回は眼形成における治療対象とは何か、について書いてみたいと思います。
知り合いの眼科ドクターから、"眼形成ではどこまでを治療できるの?"といった質問をいただくことがしばしばあります。一般眼科診療における眼形成の位置づけはまだまだニッチな領域と言わざるを得ない状況です。このような質問に対しては、自分はいつも、”目の機能を守るための形成治療なら何でもします”、と答えるようにしています。
あまりに漠然とした答えだ、と思われるのも無理はないかと思いますが、眼形成はここからここまでといった治療対象についての明確な線引きが無い領域であることに起因します。
例をあげますと、重度の逆さまつげの方に対して、耳などから軟骨を採取してまぶたの土台に利用したりします。また、下腹部から脂肪を採取して、まぶたの癒着の解除や眼球の円滑な動きを促すといった目的で眼球周囲に脂肪移植をしたりすることもあります。つまり眼表面の環境を整えるため、目周りだけでなく全身が手術対象である、といった特徴があります。
そのため、眼形成の専門医には眼科や形成外科、耳鼻科、脳外科の手術手技のみならず、腫瘍内科、放射線科、病理などの知識も時として必要になります。海外では、まぶたの美容外科手術も眼形成専門の医師がメインでおこなっています。そのため、眼科のみの知識だけではとても対応することは出来ません。科の枠組みを超えたスキルが時に要求されます。日々、勉強が必要なわけですね。
当院もこれまで同様、常に最先端の知識や技術に触れて、”目の機能を守るための形成治療”を引き続き多くの皆様に提供していきたいと思っています。